2012年2月22日水曜日

木場弘子氏のアナウンスに対する思い

木場弘子氏のブログより、月曜恒例、2月18日の中日&東京新聞夕刊、「紙つぶて」を
引用させていただきました!

木場弘子氏のアナウンスに対する思いが綴られています。^^
想像しやすい光景なので、楽しんでコラムを読む事が出来ました(^o^)

『アナウンス』
名古屋からの仕事帰りに新幹線で眠っていた。
すると、男性の声で車内アナウンスが流れた。

「間もなく富士山です。普段のこの時期なら見えるはずですが、
今日は雲が厚いため全景が見えません。次回ご旅行の際、ぜひご覧ください。」 
慌てて窓から探してみたが、やはり富士山の姿はなかった。
最近始めたサービスなのかアドリブなのか分からないが、
わざわざ起こされた上に「今日のあなたはアンラッキー」と言われたような気になる。
そして、次回は是非、と勧められても、天気の保障もない。

せっかくのサービスにケチをつけてはいけないが、
タイミングとは実に難しいものである。
このケースは、臨機応変に富士山が見える日だけにしてはどうか。
全景が拝めれば、「よくぞ教えてくれた。気が利いているな」となるだろう。

外国人観光客のために英語のアナウンスもつけてはどうか。
彼らが最も楽しみにしている一つであるが、
のぞみではそのタイミングを計るのは難しいだろう。
機内アナウンスで感心したこともある。
機長のアドリブだったが、「現在の飛行高度は3万5千フィート、
ええ、ちょうど、富士山3個分となりますでしょうか」。
なるほど、分かりやすくてタイムリー。
高所恐怖症の私には実感が湧き過ぎて困ったが。
このように一歩外に出ると、参考になる事例で溢れている。
私自身、アナウンスの内容とタイミングについて日々勉強中である。
木場弘子=キャスター、千葉大学教育学部特命教授) 

明日、2月23日(木)の朝日新聞朝刊生活面に『夫婦のコミュニケーションについて』
木場弘子氏のインタビュー記事が掲載されますので、見逃しのないようにくれぐれもご注意を~!

2012年2月16日木曜日

木場弘子氏のコミュニケーションに関するコラム

木場弘子さんのコラムです。
前回は木場弘子さんによる話し方講座のコラムをのせたので、引き続きコミュニケーションについての講座です。
私もこのコラムを読んで、コミュニケーションに対する考え方が少し変わりました。
皆さんにも是非、木場弘子さんの↓のコラムを読んでもらいたいと思います。

Vol.2 『コミュニケーションの基本は信頼関係
 今から18年前、TBSで最初の女性スポーツキャスターとなった。その頃の失敗や苦労を挙げたら、枚挙に暇がない。先日、原辰徳さんとお仕事をする機会があり、その際、原さんが「あの頃は野球界も封建的で、『どうして球場に女がいるんだ?』って言う空気があったから、大変だったよね。」と振り返って下さり、有難かった。

各局見渡しても、当時、女性はほとんどいなかった。先輩がいないわけだから、手探りで仕事を覚えていくしかない。「貴女なんかに野球のこと話しても分からないでしょ」と面と向かって言われ、質問にまともに答えてもらえないこともしばしばだった。コミュニケーションが成立しない世界に足を踏み入れてしまったという恐怖心でいっぱいだった。

とにかく、毎日球場に言って練習を眺めた。どこに立っていたら、邪魔にならないのか、いつ話しかければ、答えてもらえるのかわからない。飛んできた球に当たって、足にはあざができた。そんな場所に立っていた私が悪い。バッティングのゲージに向かうベテランに話しかけ、「邪魔だ」と怒鳴られた。審判のように目立たないようにと心に決め、スカートははかない。服はベージュ、やグレーで質素に。ヒールでグラウンドを傷つけないよう、靴はスニーカーで。そんな日々の中である時、気づいた。私たちが選手を見ているようで、実は選手も私たちを観察しているということを。

開幕前、解説者が順位予想をする。下位に予想をされた監督や選手が解説者に腹を立てることがある。それは順位が低いことではなく、その解説者がキャンプ、オープン戦を見に来たかどうかだ。自分たちの練習を見もしないで、どうして戦力分析ができるのか、ということだ。シーズン中、インタビューがある時だけしか球場に来ないキャスターがいる。確かに相手が有名だからと、話をする選手もいるだろう。しかし、そんなに甘いものではない。

取材者がどんな姿勢で臨んでいるかを良く見ている。たとえ無名の新人アナであっても、放送がない日も足繁く球場に通って、じっと自分の練習を見守っている。ある日、「ちょっとグリップの位置、変えましたか?」と彼に尋ねられる。「こいつ、よく見てるな。俺のこと、よく分かってくれてるな。」と選手は思う。ここからやっと、コミュニケーションが始まる。

 誰しも自分のことを分かってくれている、知ろうとしてくれる人には心を開くものだ。
その間に信頼関係がなければ、自分のことを話そうとは思わないもの だ。

だから、人と会う前に私はでき得る限り勉強をする。インターネットがなかった時代は、会社の資料室に行って、スクラップ記事を見たり、その人の書いた本を読んだり。あまり、拝見したことがない方だったら、出演されたビデオを借りる。トークショーなどでは呼吸が大切になってくるので、その人のしゃべりのテンポを掴むためだ。どれだけ勉強しても、し尽くすことはない。すれば、それなりに不安は一掃される。

 昨年不惑を迎えたが、まだまだ、発展途上の私に、今年のキャンプ、落合監督へのインタビューの仕事が入った。30分1本勝負だ。落合さんといえば、3度の三冠王、昨年は監督就任初年の優勝。野球の神様と言ってもいい。そして、マスコミのインタビューに応じない理由が皆さんご存知の通り、「もっと、勉強してくれないと、答えられないよ・・・・」 この上ない難関。

直接、お話するのは初めてだった。テレビ局からは当日の沖縄入りを指示されたが、どうしてもキャンプスタートの時間にはぐラウンドにいたかったので、前日入りして備えた。監督の著書も読んだ。そんな中で沸いてきた一番の興味は選手時代の「一匹狼落合」は、実は指導者としてはとてもコミュニケーション能力が高いのではないかということだった。この切り口で押していくことに決めた。

視聴者が興味を持つ一般の会社の上司と部下の関係に置き換えて、昨年の優勝、今年の展望を語ってもらった。インタビュー終了後、「いい酒飲めよ~」と有難い一言。一安心だった。

上手く行くことばかりではない。しかし、相手に信頼してもらえるよう、日頃から地道な努力の積み重ね、その上にコミュニケーションが成り立つ。一般の方のお仕事に当てはめてみても言えることだと思う。明日会う人がどんな人なんだろう?一度会ったことがある職場の先輩に聞いてみよう。「お酒は飲まない。阪神ファン。お嬢さんは学校に入学したばかり」そんな些細な情報でも会話のきっかけには役に立つ。

名刺交換をした人の特徴やその日の会話を名刺に書いておく。それだけでも次回、会うときに役に立つ。貴重な時間を割いてもらった後は必ず、お礼の電話やメールを入れる。そういったことの積み重ねの上に相手も心開いてくれるはずだ。

私も反対に、取材を受ける立場になることがあるが、取材者に自叙伝を読んで来たと言われれば、自ずと嬉しくなり、その勉強熱心さに応えようとはりきって話す。

木場弘子さんによるコミュニケーションについてはいかがでしたか?仕事上での大切な事が沢山書かれているので、いい勉強になりましたと思います。

2012年2月1日水曜日

『ほぼ紙つぶて』~若いお母さんへ~ 木場弘子氏のコラム

東京新聞&中日新聞夕刊に毎週土曜日、木場弘子氏のコラムが掲載されています。
木場弘子氏のブログにても、コラムが掲載されていましたので引用させていただきました。
1月28日の掲載分です。

『若いお母さんへ』
「お母さんがいなかったら私はここにいない。
私を産んでくれてありがとう」大関把瑠都の優勝インタビューに
思わずグッと来た。若いお母さんなら、尚更だろう。 
子育ての講演をすると、彼女たちの真剣な目、
時に涙ぐむ姿に過去の自分が重なる。
 
私の子育のスタートは名古屋だった。
当時、夫が中日の投手だったため、結婚と同時に仕事をやめて飛び込んだ。
しかし、知り合いはいない、仕事もない、頼りの夫は遠征でいない。
更には夫の不調で色々言われるのが嫌で周囲に対し殻を作った。
自分のことぐらい自分でできる、と。

しかし、子育てはそうはいかない。育児書通りにいくわけがない。
募る孤独感。子どもが6カ月の時、同じマンションの女性に声をかけられた。
「何か困ったことがあったら、言って下さい。私たちにも小さい子がいるんですよ」
もう限界だった私は素直に甘えた。
以来、お買い物を頼み、子どものお風呂を手伝ってもらい、 
母子で夕食会を開いては相談した。先輩ママの経験から来る「大丈夫」の一言は、
どんなに分厚い育児書よりも私を勇気づけた。
自分の弱さをさらけ出せた。

「親であるということは一つの職業だ。
しかし、今だかつて子どものためにこの職業の適性検査が行われたことはない。」
バーナードショウの言葉である。子どもを産んだ瞬間、
親と呼ばれ戸惑うが、子育てのプロではない。子によって親に育っていく。

名古屋を離れて16年になるが、当時のママ友達との絆は強い。
どうか焦らず、周囲に甘えて欲しい。

木場弘子=キャスター、千葉大学教育学部特命教授) 

木場弘子氏のこのコラムは、子を持つ母に読んでもらいたいですね!