こんにちは。
以前も木場弘子さんのコラムをご紹介させていただきましたが、今回も心に響くコラムを木場弘子さんが掲載されていたので、ご紹介させていただこうと思います。
木場弘子さんは東京新聞&中日新聞夕刊に毎週土曜日、コラムを掲載されています。
コラムは木場弘子さんのブログより、引用させていただきました。
6月18日の掲載分です。
『煩わしさも大事』
卒論で企業スポーツを扱いたいので、
そういう会社をいくつか紹介して欲しいと学生に言われたことがある。
知らないわけではないが、こう言った。
「電話をかけて断られて、断られて窓口を見つけるところから
卒論は始まっている。」
意地悪でも何でもない。
うまくいかないことも大事な経験だ。
就職試験の面接で着るスーツで悩んでいると言われたことも。
「口頭の説明より着てみせて。それが1番わかるから」持って来るよう言った。
携帯のない時代、電話をするには自宅にかけなければならなかった。
家族の誰が出るのかわからない。
名を名乗り、自分との関係性を説明するのは確かに面倒だ。
恋人の家にかける男性にとって、
父親が出た時の緊張感はたまらなかっただろう。
今はダイレクトにつながる事が普通となった。
しかし、こうした煩わしさを乗り越えて、関係性が築けることもあるように思う。
秋に仕事と子育てについて、夫婦でトークショーをする。
先方が作ってきたチラシやポスターの写真が十年以上前のものだった。
差し替えが間に合うというので、テーマに合わせてスーツ姿ではなく、
柔らかい感じのニットやシャツで撮り直した。
しかし、上がってきたものは頭が切れたりしていて、
上がる度に別の箇所に修正が必要となった。
きっと、先方にしてみれば、最初の古い写真の方が楽だったろう。
しかし、楽したものより、手をかけたものは伝わるものが絶対違う。
煩わせてしまったかもしれないが。
(木場 弘子=キャスター、千葉大学教育学部特命教授)
このコラムを読んで、あなたは何を想われましたか?